コルテン鋼ってなに?滅多に出ないレア鋼材がわかる。

恐らく「コルテン鋼とは」と検索した方が、このページを見つけることが多いと思います。コルテン鋼は特殊鋼材であり、その特徴を活かせば多彩な使い方ができます。コルテン鋼のメリットやデメリット、その活用法や注意点をご紹介します。必見です。

コルテン鋼は滅多に出ない。なぜか。

リン酸処理もそうですが、建築業界の流行もあるのだと思います。外壁にコルテン鋼を使う等のお問合せをいただきます。まず90%が設計事務所さんです。

図面があっても詳細はなく、でもサンプルが欲しいなど、お問合せの段階でかなりファジーです。そして、まず参考見積で終わります。

値段についてはステンレスくらいの鋼材陽と認識してもらえば、費用として大きなズレはないと思います。

コルテン鋼とは。

コルテン鋼

写真は、厚みが1.6mmのコルテン鋼材です。見た目は普通鋼と変わりません。通常の鉄と同じく「黒皮(熱間圧延鋼板の加工工程で発生する酸化被膜)」もついています。

コルテン鋼とは普通鋼にリン、銅、クロム、ニッケル、シリコン等の合金元素を添加した耐候性の高い特殊鋼材です。

また、「錆びない」と誤解を受けがちなコルテン鋼ですが「錆びます」。ただ、発生するサビ自体が通常の鉄のそれとは構成が異なり、ある程度のサビが発生した状態の皮膜が鋼材と密着し、それ以上の腐食が進みにくいのです。

簡単にいうと「表面は錆びるけど、中までは錆びにくい」というイメージです。

このことから、コルテン鋼を使う工事は、神社仏閣や鉄橋など定期的なメンテナンスが困難なケースにおいてコルテン鋼を採用する場合が多いです。

また、優れた耐候性とサビの抑制性の反面、どうしてもコストが上がってきます。

コルテン鋼のプレパレン処理とは。

コルテン鋼に発生するサビ対策としてプレパレン処理(ウェザーコート法)があります。プレパレン処理とは簡単に言うと「コルテン鋼のサビを発生させにくくするコーティング処理」です。

工程としては、コルテン鋼にリン酸塩皮膜をしたあとに、プレパレン処理のアクリル樹脂皮膜を施してコーティングをします。見た目としては黒褐色系のマットな仕上がり。標準色として下記の3色があります。※画面の見た目と実際は異なる場合があります。

プレパレンS プレパレンB プレパレンR

プレパレン処理の自立式のサインを製作。

コルテン鋼の自立サイン

滅多に出ないレア鋼材のコルテン鋼ですが、今回ご注文をいただいたオーダー金物自立式のコルテン鋼サインです。

3.9mmのコルテン鋼を使ってサイン本体とベースレートを加工し、コーティング(ウェザーコート/プレパレン処理「S仕上げ」)を施しています。矢印や自転車マークなどのピクトグラムはステンレスをレーザーカットで製作。

製品としてはとてもシンプルな作りとなっていますが、屋外に使用する金属製サインとしては意匠も含めて合理的といえるでしょう。もちろん施工環境によっても左右されますが、永続的な使用を見込むことができます。

サビを化粧にしたコルテン鋼の使い方。

コルテン鋼の曲げ加工

先ほどのコルテン鋼の自立サインはプレパレン処理でコーティングしていますが、敢えてコルテン鋼をそのまま使って「サビ」を発生させて使う場合もあります。

これはコルテン鋼の「表面はサビるが、中までは侵食しくい」メリットを利用してできる方法です。

写真は、コルテン鋼4.5mmをL時型に曲げたものです。門柱として使われるので開口や文字をレーザーでカットしお名前やインターホン用の穴として使用されます。やはり見た目は鉄板と区別がつきませんね。

通常の鉄と同じようにコルテン鋼もそのまま放っておけば酸化しサビが発生します。しかし、ある程度サビができると、このサビ皮膜が鋼材をコーティングし内部の腐食化を抑えてくれます。その特徴を利用してコルテン鋼の表面にできたサビをテクスチャとして見せることができるのです。

しかもこのサビは経年変化によって刻々と表情を変えていきます。最初は若いサビ色(黄土色)に始まり、だんだんと黒褐色の落ち着いた雰囲気を楽しむことができます。

注意点もあります。最初の酸化に伴う副産物として「流れサビ」が出ます。この流れサビが発生している間は設置した付近にサビが飛散します。このことから、流れサビが発生しても問題ないような対策(床や壁などにサビが飛散、付着しないような工夫)が必要になります。

除去しきれずに残った黒皮によって、サビが部分的に剥がれることもあります。

サビは手や衣服が触れれば付着します。白いシャツで寄りかかったりしたらサビが付くのでご注意ください。そして、このサビで汚れないためにクリア塗装などしてコーティングしたいとご相談を受けることもありますが、塗装はいつか剥がれます。引っ掻けば塗装ごと取れてしまう可能性も。

これらのことから、コルテン鋼のサビをテクスチャーとして使用するには上記のような条件下で使用することが前提となります。

経年変化のサビは「自然の産物」。

コルテン鋼のサビ

いつかは落ち着いたサビ色になりますか?」とご相談いただくこともあります。答えは「多分なります」です。

写真はコルテン鋼をエイジング処理(酸化)させている途中経過です。まだまだ若いサビ色ですね。酸化処理を始めて数日でここまでサビが発生します。酸化にもいろいろな工夫がありますがこれは企業秘密です。

サビは自然が生んだ天然の経年変化です。樹木の肌が同じ種類でも模様が違うように、サビもまた表情は様々です。黒に近い色になっていったり、明るいサビ色がマーブル模様に残ったりします。

鋼材の微妙な内部構成の違いや、立地環境(方角・傾斜・湿度・気候などなど)によって腐食速度や腐食模様も変わってくるのです。

おおよそ、黒褐色に落ちていくことが多いですが、その辺りは、鉄と風と水が作る天然のテクスチャーとして愛でていただければと思います!

コルテン鋼のサンプルについて

コルテン鋼のサンプルをご希望される場合の注意点がございます。コルテン鋼は頻繁に出回らない鋼材のため、当社でも端材(加工時に余った切れ端しのようなもの)の在庫はございません。

このことから、コルテン鋼の「サンプル」としてではなく、「製品」として切り板を発注いただく形になります。有料になります。

また、10cm X 10cmの切り板を注文する場合でも、規格サイズとなる「4×8板(1,200mm X 2.400mm)」から切り出す必要があり、切り出した板ごとの費用となるため、高額になります。

コルテン鋼のサンプルについては、通常のルートでは高額すぎてサンプルとして扱うには予算がかかるため、お問合せをいただいたタイミングでどこかの鋼材卸で端材があればそれを買い取る形になります。

さらに、この場合の「端材」については品質を保証するものではありません。工場や倉庫の中で放置されていたものなので、酸化(サビ)はもちろん発生していますし、その程度もわかりません。この辺りをご了承くださればと思います。