鉄創庵ラボの試作品。サビ表札を製作してみました。

本来は鉄にとっての天敵である「サビ」を活用した表札です。本物のサビを発生させるので味わい深く、また経年変化と共に表情も変わっていきます。まさに自然と時間が作ったテクスチャです。鉄創庵ラボの試作品です。

「サビ風」ではない、本物のサビ表札

サビ鉄板表札

本来であれば鉄にとっては天敵である「サビ」。時間とともに酸化していくことで鉄にはサビが発生するのですが、このサビを活用し表札を作ってみました。

このようなサビ表札を製作するときに使いたいのはコルテン鋼です。

コルテン鋼とは

コルテン鋼とは、普通鋼にリン、銅、クロム、ニッケル、シリコン等合金元素などの合金元素を添加した耐候性鋼材といわれます。う~んわかりづらいですね。

特徴としては、なんといってもその優れた耐候性とサビの抑制性。発生するサビ自体が通常の鉄と違い、母材に密着したような形となりますので、発生したサビ自体が、その後の腐食を防ぐのです。「表面はサビますけど、中までは浸食しにくいです。」と、よくお客様にはご説明します。

しかし反面、どうしても費用が上がってきます。目安としてはステンレスと同等くらいの価格と思ってもらえればいいかと思います。

レーザーカットされたステンレスで作った文字パーツ

ちなみに、今回のサビ表札では文字部分をステンレスにしてみました。サビの自然なテクスチャとメタリックなステンレスとのコントラストを楽しむためです。

3mm厚のステレンレス、しかも400番研磨(まあまあピカピカな研磨)をレーザーでカットして、裏側にスタッドボルトを溶接します。

サビのアップ

鉄をサビさせる方法(コツ)は企業秘密

コルテンを地道に毎日サビさせていきます。塩水をスプレーしていくほかに、秘密のアレを使ったり、コレを混合したり、ソレを使用したりするとサビ発生も早くなり、色合いも良くなりますが企業秘密!

サビの風合いは鉄板それぞれ

サビの色合いというのは鉄それぞれが持つ個性です。樹木の肌と同じです。すべてが均一な仕上がにもならず、また、サビの濃淡もバラバラです。なので「こんな感じの色になりますか?」というご質問については、「なると思います」です。

実際、上の写真のような色合いになるまでは2~3か月必要です。最初は若いサビ色(黄色・黄土色)に近い感じになります。

参考までに、下の写真はエイジング作業3日目のサビの色です。これがだんだんと落ち着いた色になってきます。経年変化の自然の美しさです。

サビて数日経ったコルテン鋼

また、鉄板には「黒皮」と呼ばれる被膜があり、サビせていく工程で部分的に剥がれてくることもあります。その後もどんどんエンジング作業をしていくわけですが、これもまた美しい、自然な「サビのテクスチャ」になっていきます。

経年変化で表情を変えるサビ表札

自然のサビは変化を止めない

ステンレスの文字パーツを貫通固定して完成しました~!鉄創庵ラボのオリジナルのサビ表札です。今回のオーダーメイド金物としてご紹介したサビ表札ですが、やはりサビは演出とはいえ自然と時間が作っていくテクスチャです。

サビはある程度のところまでサビると色の変化もなくなってきますが、サビが止まったわけではありません。手で触ればサビが着くし、雨に濡れればサビ汁が垂れます。(もちろん程度は違ってきます)

エンジング塗装などと違うので、その辺りの注意が必要ですが、実際にサビ表札に手を触れてみると、その独特の質感や自然の凹凸、色合いに惹かれる方が大変多いのです。